磯部医員が第3回JEFA賞(臨床部門)を受賞しました。
2023年12月2日にオンライン開催された「第4回日本エーラス・ダンロス研究会」にて、当教室の磯部医員が第3回JEFA賞(臨床部門)を受賞しました。
筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群(mcEDS)は信州大学医学部遺伝医学教室の古庄知己教授が発見した疾患で、先天性多発関節拘縮、進行性の骨・関節病変(変形、弛緩、脱臼)、皮膚脆弱性、巨大皮下血腫等の重篤な症状が認められます。上肢運動機能や骨関節形態について詳細に調査した報告はなく、上肢の運動器障害は、患者のQOL/ADL(生活の質/日常生活動作)に影響を与える深刻な疾患であるためその病態解明が急がれます。
今回の受賞演題では、mcEDS患者は筋力低下によるADL低下が顕著であるが、成長に伴い改善する傾向にあることを示しました。また、肘関節の脱臼や変形性関節症は、関節包・靱帯弛緩に加えて、浅い尺骨滑車切痕により不安定性を生じ発症した可能性を示唆しました。この結果から、mcEDS患者の上肢運動機能は未成年に比べ成人の方が良好であることが明らかとなり、mcEDSの骨・関節病態の解明につながることが期待されます。
日本エーラス・ダンロス研究会は日本におけるEDS関連の診療・研究・教育をさらに発展させることを目的とし2020年から国内のEDSに関係する医療従事者や研究者らが集結してオンラインで開催されています。JEFA賞はEDSの患者会である「NPO法人日本エーラス・ダンロス症候群協会(JEFA)」により、EDSの診療や研究の発展を願い、EDS患者のQOL向上に役立てて欲しいという想いから設立されました。表彰式は2024年5月11日予定です。
受賞題目 : 筋拘縮型Ehlers-Danlos syndrome 患者の上肢運動機能および骨関節の調査