脊椎ロボットアーム Cirq(サーク)を導入しました

信州大学医学部附属病院整形外科では脳神経外科と共同で手術支援ロボットアームCirq®(サーク)を導入しました。ロボットシステムの使用により脊椎手術において従来よりもさらに正確なスクリュー挿入が可能であることは海外の9件の無作為化対照試験と1件のメタアナリシス(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析する手法)で報告されています。また椎間関節の損傷が少なくなることが韓国の1件の研究により報告されています。国内では5施設目、長野県で1施設目の導入になります。現在、ハイブリッド手術室に入っている、術中CTであるARTIS pheno®と、それに連動する手術用ナビゲーションシステムCurve® Navigationの追加機能としてのロボットアームです。

脊椎の手術では、脊椎の椎弓根という部位にスクリューを挿入する手技に使用します。手術中に患者さんの体位で約5秒でCTを撮影します(通常の1/5の低放射線量)。CTの情報が即座に(約5分)ナビゲーションに送られます。ナビゲーション上でスクリュー挿入のプランを立てます。このプランに従って、ロボットアームが挿入部位まで移動し、ロボットアームのガイドに従って、術者がスクリューの下穴を開けます。今までは、術者がナビゲーションの画面を見ながら、下穴を作成していましたが、ロボットアームを使用することにより、変形の強いケースであっても、より正確にスクリュー挿入することが可能になります。Cirq®はこの他に、てんかん患者さんの頭蓋骨電極埋め込みに使用します。現在までに2例の脊椎手術に用いており、スクリュー挿入の正確性・安全性が確認できています。

2022年6月10日

髙橋 淳